呪縛
着物に関わり始めた頃は、着物本や教室で学んだことしか分かりませんでした。出来上がりの結果に波があるのは、自身の練習不足と経験不足によるものだと思っていました。上手くいってもいかなくても一生懸命取り組んでいました。学んだことが最善の方法だと信じて疑いませんでした。しかし、時間が経つにつれ少しづつ疑問がわいてきます。なぜ上手くいかないのか、なぜ失敗するのか、どうしたらいいのか、ずっと分からないままでした。そんなモヤモヤを抱えながら過ごしている内に、だんだん着物を着たり着せたりするのがおっくうになり、本当は着物が好きではないのかも知れないと自分を疑うようになっていました。最初に学んだ着方・着せ方は、着物本や教室(スクール・流派)のやり方であって、本当の理にかなった着方・着せ方かどうかは、また別なのだと気付くのに時間がかかりました。例えば、おはしょりの整え方。右脇の余ってだぶついたのを上前のポケットにたたみ込んで隠すのが一般的なやり方です。誰もがそのようにされているので、そうするのが最も良い方法だと疑いませんでした。しかし、何度やってみてもどうしても膨らんでしまいます。納得がいきませんでした。左脇も同様に余った分をタックにすると教わっていたので、ずっとそのようにしてきましたが上手くいったりいかなかったり安定しません。考えても分からないので、そういうものだと無理やり納得させていました。
覚醒
着る回数・着せる回数を踏めば自ずと技術が向上するものだと聞いていましたが、本当にそうなのだろうかと疑ってもいました。疑いつつもどうしたらいいのか分からないので、しばらくは教わった事をやり続けながら、着付けサロンに入会したりYouTubeやSNSをたくさん拝見しました。それで思い知らされたのは、己は井の中の蛙であるということでした。蛙は、大海を知ってしまいました。しかし、着物の真を伝えてくださる先生は、ほんの一握りだと感じます。学んだことを否定するのではありません。それだけでは足りないということです。今があるのは、教室で基礎を叩き込んでいただいたからであって、それがあったからこそ疑問が生まれ、着方・着せ方の改善に繋がっています。自分は、もっと進化できると思っています。
改善
先ほど例に出したおはしょりの改善結果です。
上 自装(浅葱色)
下 他装(市松模様)
このやり方は、メリットデメリットありますが、着姿の美しさと着付け時間の短縮になります。