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出る杭

かつて、こんな体験をしました。

あるプロジェクトに参加していた時、リーダーと一人のメンバーとの間で起こったいさかいが原因で、
その後の運営メンバーが数名ほど入れ替わりました。

入れ替わる前のメンバーは、リーダーの多くの部下の中から選抜された優秀な先輩方でした。
実績も経験もない私は、良い経験になるからというだけで、そんなチームに所属させてもらっていました。

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優秀


ある時、先輩メンバーの一人が大手クライアントとの契約に成功し、その後もプロジェクトをバリバリこなしていました。彼女は自信に満ちあふれ、とても順調そうでした。そんな中、リーダーの指示が無いにもかかわらず徐々に職分を超えてしまうことが目立つようになりました。それは、他のメンバーたちにも伝染し看過できないまでになっていました。リーダーもメンバーたちも目指している方向は同じであるのに、チーム内はギクシャクしていました。

プロジェクトの進捗状況を常に把握し先を読んで行動できるのは、優秀であるがゆえです。良かれと思ってしたことです。それが、リーダーの責任領域を侵していることに気付いていないのです。むしろ、なぜ評価してもらえないのかと不満を抱いているようでした。リーダーは、優秀な部下だからそばに置いておきたいけれど、顔をつぶされて恥をかかされていると感じているようにも見えました。部下のマネジメントがあまり上手くいっていないようでした。プロジェクト進行に支障が出るようになり、そんな二人の間で良質なコミュニケーションがとれるはずもなく、ボタンの掛け違いは最後まで解消されることはありませんでした。

間もなく、その先輩メンバーがチームを離れることになったのですが、後を追うように数名の先輩メンバーも一度に離脱していきました。

立場のあり方


リーダーは組織のトップである以上、どんなに優秀で信頼のおける部下であっても、他人の責任範囲に軽々しく踏み込むことは厳しく戒めるべきなのだと思いました。それも早い段階で。人情でダラダラと見過ごしては手遅れになってしまいます。プロジェクトを全うするためには、三国志の有名なエピソードのように、泣いて馬謖を斬らなければならない時もあることを覚悟しておかなければならないのだと思います。

また、メンバーは組織に属している以上、自分の職務の責任範囲をわきまえておかなければならないと思います。良かれと思ったことが己の職分を超え他者の職分を侵す行為になることを知らないから、出る杭は打たれるのだと気付かされます。助けてもらったと感謝されるよりも、快く思われない方が圧倒的に多いと心得た方が良さそうです。それを、窮屈だと感じるなら、持て余す才能を存分に発揮したいなら、早々に居場所を変えた方が賢明な判断かも知れません。

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